どんより
重いココロとカラダを
引きずるように

帰路につく。


玄関で

ケータイが
メールの受信を
知らせてきた。


「…知らないメアド」


【トーコ先輩って】
タイトルに

後輩からのメールだとは
わかったけれど

「誰だろう…」


励ましのメールだったら
かなり嬉しいかも。

ちょっと期待して

メールを開いた。


【みんなして
先輩のコト庇っていたから
言い出せなかったんですけど

私もコーチや
ナンノ部長の言う通りだと

ずっと思ってました】


「……」

延々と続くメールの文。


…悪気がないのは
わかってる。

私の為を思って
言いにくいコトを
言ってくれているのも。


…だけど。


「…疲れた」

私はケータイの電源を切る。


「あら、おかえりなさい!

今夜のゴハンはね〜
トーコの好きな
ビーフシチューよ〜♪」

「……」

こんなときにも
変わらず脳天気に
話し掛けてくるママ。


「…ゴハン。いらない」

私はそう答えると
自分の部屋に入って

ベッドの上に
突っ伏した。


「やだ、トーコ。

シーツ
取り替えたばっかりなのに

制服のまま
寝転がったりしないで!」


私の後を追いかけてきた
ママが口うるさい。


「前から言わなくちゃ、と
思ってたんだけど。

ママはねッ」


「……」

前から思っていて
言えなかったコトを

どうして今

このタイミングで
言おうとするんだろう。


「もう向こう行ってよッ」


私はマクラに顔を埋め
それ以上の会話を拒絶した。