セイが嬉しそうに

ぎゅううううううう、って
私のカラダを抱きしめた。


「お前はよく頑張ってる。
それは俺がよく知ってる」


「……」


「一生懸命やってるコトが
伝わらないっ、て

嘆く気持ちも
わからないでもないけれど」


自分の気持ちが
伝わってない、って


「相手の気持ちや状態を
わかってやろうと
していないのは

トーコもナンノも後輩も

同じじゃないのかな?」


「……」


「…母さんさ。

最近、お前が部活を
頑張ってるから、ってさ」


朝から布団を干して
シーツも新調して。


「夕食には

お前に精をつけて
欲しいから、って

昨夜から
シチューの仕込みを
していたのに」


気づかない
いらない

出て行って、じゃ


「あまりにも
気の毒だと思わないか?」


「……」


同じ柄だけど

それは確かに
真新しいシーツで。


台所からは
シチューのいい匂いが
流れてきた。


「攻撃されている、と
思い込む前に

やさしさを探さなきゃ」


セイが
私を抱きしめたまま

私のアタマに

何度も、何度も
キスをする。


「トーコ。
みんな、お前のコトが
大好きだよ」

「……」