チュッちゅ♂016


日曜日の昼下がり。

今日はパパのお供で
セイと3人
古本屋街に足を運ぶ。


パパの会社の
取引先の社長さんが

たいそうな
日本美術の愛好家だそうで

来週の来日に合わせて
手土産になるような画集を
探しに来た。


「お金で
買えるようなモノには
興味がないらしくてね」


…お金持ちって
本当にタチが悪いッ。


江戸か明治あたりに
刷られた画集なんて

そうは簡単に
見つからないし

見つけても
足元を見られて

高い値段を
吹っ掛けられるのが
オチだと思う。


「…それにしたって!」


パパってば
肝心な画集探しは
セイにまかせっきりで


「さっきから
店先の特売品の小説ばっか
手に取ってる…」


「父さんも
古書街好きだからさ」

セイが苦笑しながら
本棚の上の方から

古い画集を抜き出してきた。


「これなんか
いいんじゃない?」

「浮世絵?」


パラパラ、とセイが
中身をめくっていきながら


「これ、どう繋がってるのか
わかる?」

なんてッ。


エッチな
男女の交わりの絵を
私に見せながら

「今度ふたりで
試してみようか?」


耳元に囁いてくるッ。


「真面目に探しなさいよねッ」

「はいはい」


狭い通路。


私を邪魔にしながら

セイが
どんどん奥に入って行った。


…まったくッ。

ふたりして
何しにここに来てるのかッ。