「…信じられないッッ!!!」
「何がだよ」
帰り道。
怒り狂う私の後ろを
少し離れて
ニコニコしながら
名門校の制服を着たセイが
図々しくついてくるッ。
「ファスナーなんか
開いてなかったのにッ」
「でもあれで
硬かった教室の空気が
イッキに和んだだろうが」
「和んだ、なんて
甘いモンじゃなかったッ!」
爆笑の渦になって
最後まで
授業になって
なかったじゃないッ!!!
「楽しい学校だ、って
受験を考えている
保護者や受験生のウケも
相当よかったと思うけど」
…セイッ。
アンタは
ウチの学校の経営者が
用意した”サクラ”ですかッ。
「セイってば
私の参観なんかに
顔を出すなんて
ホント、ヒマなんだねッ」
「…何だよ。
参観日は
最初から最後まで
ちゃんと見て言ってね、って
おまえが常々
言ってたからさ〜…」
やっと
トーコの望みを
叶えてやれた、って
セイってば
恩着せがましく
言ってるけれどッ!
「最後まで見て欲しい、って
頼んでたのは
小学校のときの話
でしょうがッ!!!」
「…そうだっけ?」
「都合のいい記憶の残し方
しないでくれるッ!?」