「じゃあ、買う必要は
なくなったな」
セイは私のオデコを
長い5本の指で
ガシッとおおきく掴んで
「ほら、もうこんな店
もう出るぞ!」
なんてッ!!!
「……」
珍しくセイが
私の趣味に
つき合ってくれたかと
思ったのに。
案の定。
やっぱり
5分も持たなかった。
「いいじゃないッ。
自分のお小遣いで
買うんだしッ。
使うのも私だもんねッ」
私は
セイの手を両手で払って
棚の上から
ウサギを取り返すッ。
「…使うのは
お前かもしれないが
トーコがアタマにつけた
クソウサギを目にするのは
俺なんだけどッ」
レジへと向かう
私の背中に向かって
セイは
いつまでも諦めが悪く
訴えてきてッ。
「セイの前では
使わないようにするからッ」
「お前の風呂上り姿を
鑑賞する楽しみを
お前は俺から
奪うというのかッ」
クスクスクス。
レジを打つ店員さんも
笑ってますッ!!!
「それ以上
反対するんなら
私にだって
考えがあるからねッ」
「…考えってなんだよ」
「それは
今、考えてるトコロですッ」
「そういうのを
”考えがある”とは
世間一般では
言わないんだけどな!」
「雰囲気が
伝わってるんだから
いいじゃないッ」
…揚げ足取りの
セイなんて
ホント、キライだッ。