「……」
「……」
結局。
雑貨屋から
家に帰り着くまで
セイは恨めしそうに
ウサギの包みばかりを
睨みつけていてッ。
早くこの件から
セイの意識を遠ざけたいッ。
そう望んでいたのにッ。
家の玄関をドアを開けた途端
「お帰りなさい。
お風呂、沸いてるわよ」
通りがかったママが
またタイミング良く
お風呂のコトなど
口にしたりしてッ。
「……」
「……」
「…私は後でいいから
セイ、先にはいれば?」
「もちろんッ
言われなくても
俺が先に入るつもりだ!」
…セイってばッ
不機嫌さ、丸出しでッ。
「どうしたの?
ケンカでもしたの?」
バスルームに向かう
セイの背中を見送りながら
”あの”ママが心配して
私に耳打ちしてくる程
セイの態度は
オトナ気なかったッ。
「…こんなに
かわいいのにッ」
リビングで
ウサギのタオルターバンに
ついていた値札を
ハサミで切りながら
ついつい
溜息が出てしまうッ。
「セイのあの様子じゃ、ね」