チュッちゅ♂019


基本。

セイは
半分こ、が嫌いである。


「セイは妙なトコ
完璧主義者だから」

キッチリ等分できないと

「そんな自分に
イライラしてくるみたいだな」

パパが苦笑しながら
テーブルの上に乗っていた

立派なマスクメロンを
ひと撫でした。


「ママはパパと
出掛けるけど

ちゃんとふたりで
仲良く分けて食べるのよ」


今日はパパの会社の
パーティーとかで

夫婦で美味しいモノを
食べさせて貰うらしく

パパとママが気を遣って
留守番する私達に

わざわざメロンを
買ってきてくれたのだが。


「スーパーの特売の値札が
つけっ放しなのが

何だかママらしいね」


ママ達を見送った後

セイが早速、キッチンから
包丁を持ち出してくるけれど。


「えッ、もう食べるの!?」

「ちょうど
3時のオヤツの時間だからな」


…3時のオヤツという
年齢でもないかと

思われますがッ。


「要らないの?、メロン」

「…セイが食べるなら
私も今、食べるけど」


私の分は残しておいてね、と
頼んでも

好きなモノに対して
自制が利くセイでないのは

この私が
一番よく知っていた。


「セイがメロン好きなのも
知ってるけど

私だって
セイ以上にメロンが好き
なんだけどなッ」


メロンの前で
包丁を構えるセイに

しっかりと
自己主張するッ。