私の問い掛けに
笑顔で応えながら
セイは包丁を
キッチンに片づけに行く。
…雨でも降るんじゃ
ないのかなッ。
「でもッ♪」
何だかわからないけれど
セイの
気が変わらないうちに、と
私はメロンの種を
せっせ、と
スプーンで取り出して。
機嫌良く
メロンをひとすくいする。
「ひさびさの
マスクメロ〜ン♪」
ほぼ丸1個をひとり占めッ!
贅沢過ぎる
このひとさじに
手も震えるとゆ〜モノだッ。
なのにッ!!!!
「ご苦労だったな」
私が種を取り出して
あとは食べるだけのメロンを
またしても
当然だ、と言わんばかりに
セイが
ワガモノ顔で取り上げてッ!
「信じられないッ」
「何がだ?」
「ママだって
仲良く分け合いなさいって
言ってたのにッ」
「仲良く協力して
分け合ってるじゃないか」
「この不公平な状況の
どこに
平和や思いやりのココロが
存在すると言うッ」
「…理屈っぽいヤツだなあ」
セイが私の鼻を摘まんで
キレイ顔を近づけてくるッ。
「寒がりなヤツと
暑がりなヤツがいたとして
カーディガンが
1枚しかなかったとしたら
お前はカーディガンを
半分に切って分けるのが
公平で
平和で
思いやりのココロが存在すると
言いたいんだな!」