「…メロンの場合は
ふたりともが必要として
いるんですけれどッ」

なんてゆ〜のは
余計なツッコミで。


「基礎代謝量だって
俺の方が多いんだ!!!」

お前より
たくさんカロリーを
取らなくちゃ
いけないんだから

「より多く
メロンを必要としているのは
俺の方だと言えるだろうッ」

セイの屁理屈が炸裂するッ。


「新体操やってる私の方が
運動らしい運動をしていない
セイより

必要とするカロリーだって
多いと思うけど」


「筋肉は使っても
脳の使用頻度が少ないから

プラマイ、ゼロに
決まってるだろうッ!」


「……」

…たかがメロン1個で

ここまで
バカにされようとはッ。


「もう、いいッ!

セイはひとりで
好きなだけ食べてればッ」


私は席を立って
自分の部屋に行こうとして

「こら、待てよ!」

セイに腕を掴まれたッ!


「トーコとふたりで食べる
楽しみを

俺から奪うというのか!」


…だったら
私を怒らせるようなマネ
しないでくださいッ。


「ほらッ!、席に着けよ」

「!!」


セイがその長い指で

私の口の中に
ひとカケラ
メロンを押し込んできてッ。


「…カロリーは足りてても

お前には
甘みが足りないようだ」


「……」

…セイが自分の好物を
私に差し出してくるなんて。


どういう風の吹き回しだ。


「少しは甘くなったかな」

「……」


セイが自分の指についていた
メロンの果蜜を

私の目を見ながら
満足そうに舐め取って…。