幸運にも雨にも降られず
家に辿り着くと

リビングの
クッションカバーを
早速、つけ変える。

「へへへへへ♪」

思った通り
リビングにもとっても
馴染んでいて。


「気持ち悪いぞ」

そう言いながらも

セイも満足そうに
私の笑顔を見つめていた。


「ママもきっと
ビックリするよね!」


ママ、早く
ボランティアから
帰ってこないかな。


「母さん
商店街のイベントの手伝いに
行ってるんだっけ?」

「雨が降ってきたら
中止になるだろうから

そのうち
帰ってくるんじゃない?」


ママはいつも
晴雨兼用傘を持ってるから
心配はいらないけれど。


「コーヒーでも淹れるか」


セイが機嫌良く
腰を上げたけどッ

「コーヒー、こっちに
持ってこないでねッ」

「…わかってるよ」


大事なクッションカバーに

ついつい
神経も過敏になるッ。


買ったばかりの日に
コーヒーのシミなんか
つけようモノなら

世界の全てを
恨んでしまいそうだッ。


「玄関が
騒がしいみたいだけど

母さんが帰ってきたのかな」


「え?」