セイのセリフに
玄関を見に行くと

ドアが開く前から

甲高い声が
マンションの廊下に
たくさん響いていてッ。


「…嫌な予感がするッ」


「みんなッ
部屋に入る前に
手洗いウガイをするのよ!」

ママのおおきな声が
聴こえてきたと思ったら

ドアが開くと同時に

「お邪魔しま〜すッ」

たくさんの子どもが
家の中に乱入してきてッ。


「マッ、ママッ!?」

こッ、これはッ。


「学童保育の子ども達よ」

預かってきたの、って
ママは悪びれもなく
軽く答えてるけどッ。


「…母さん。
いったいこれは何の騒ぎ?」


作り笑顔でやってきた
セイの背中から

負のオーラッ。

かなりの機嫌の悪さだと
お見受けしますッッ。


「イベントの最中に
雨が降ってきちゃって

この子達のご家族が
傘を持って迎えに来るまで

少しの間
預かるだけだから」


イベントの会場は

雨の中の
片づけになっちゃって
混乱しちゃってるし、って

ママは悪びれもなく
事情を説明してるけどッ。


「…そうなんだ?」

セイの声のトーンが

笑顔に合っていなくって
恐いですッッ。