「…それで?」
いつもなら、この時点で
ヒトのコトをおバカだ、とか
要領が悪いんだの、とか
言いたい放題
突っ込んでくるセイが
私の尖らせた口を
その手でさらに
ぷに〜い、っと尖らせさせる。
「掃除で何かミスったの?」
「だからッ!
私はミスなんか
していないんだってばッ!」
「…お前がミスった、なんて
俺は言ってないだろう」
セイが私の顔の上の枕を
ぱふん、と叩いて。
「……」
「だいたい
お前がミスるなんてコト自体
珍しくもないしさ。
お前、自分がしたミスを
黙ってられるほど
賢くないから」
さっさと自己申告して
楽になりたい
タイプだからな、って
セイは私の性格を
よく把握していた。
「で、どんな失敗を
押しつけられたって?」
「…今朝、学校に言ったら
私が掃除した便器が
壊れてる、って
騒ぎになってて」
「便器の奥に
掃除で使っていたタワシが
詰まっていたってワケだ?」
セイが枕の端を持って
私の顔を
そっと覗き込んでくる。
「私ッ!
自分で使った掃除用具は
最後にキチンと洗って
返したしッ」
「もし自分がそんな失敗を
しでかしていたなら
その場でパニックして
すんごい騒ぎを起こしてる
ってか?」
「うううううううう〜ッ」
確かにその通りだとは
思うけどッ。
何か、さりげなく
小バカにされている
気がしますッ。
「…で、お前は犯人が誰か
心当たりがあるんだろ?」
「……」