「さっき、先生が、って
お前、言ってたけど」


…セイは
私の話を聴き流している
ように見えて

本当に
一言一句よく聴いている。


「…ひとりでトイレ掃除は
大変だから、って

隣りのクラスの
親切なオンナの先生が

いっしょに掃除を
手伝ってくれてて」


私が掃除した便器の
落とし損なっていた汚れとか
チェックしてくれてた。


「4時を回ったから、って
先に私を内緒で帰してくれて

スッゴイやさしい先生でッ」


「そんな出来た
素晴らしい先生が

うっかり、とはいえ
便器にタワシを
流しちゃうなんて

あってはならないミス
たったワケだ?」


…そ〜ゆ〜言い方を
しちゃうと

身も蓋もないけれどッ。


「そりゃあ!
私がやった、ってゆ〜方が
シャレになるしッ」

確かに、先生もみんなも
トーコだからなあ、って
笑い飛ばして済んだけどッ。


「…笑って終わったんなら

それに越したコトは
ないじゃん?」


「そうなんだけどッ!」


「今更、話を蒸し返して

真犯人の女教師を
みんなの前に晒したトコロで

誰も、なあ〜んにも
救われないだろ〜が!」


「わかってるけどッ」


自分でも

この苛立ちを
どうするコトも
出来ないでいる。