もう終わったコトだし。
別に強く叱られたワケじゃ
ないんだけれど。
また、トーコが
バカをやった、って
言われるのも
いつものコトなのに。
「どうしてこんなに
いつまでも悔しいのか
自分でも
わからないんだもんッ」
私は再び溢れ出てきたナミダを
見られまい、と
セイに枕をぶつけて
八つ当たりした。
「…それはさ」
公明正大。
「自己保身の為のウソだけは
つかないヤツだ、って
自分のコトを
そう評価してくれていると
思っていたのに」
失敗をなかったかのように
知らんぷりして
そのままにして
帰宅した、って話を
「みんなが
そのまま信じちゃったのが
ショック
だったんじゃないの?」
「……」
そうなのだ。
私は確かにおバカで
そそっかしいトコロは
あるけれど
他のヒトより失敗が
特に多いワケではなく
正直にちいさいコトまで
包み隠さず
申告してきたから
自ずと失敗が
目立ってしまっていただけで。
「…みんなだってさ。
わかってるって」
ただその方が
その場を丸く
収めらそうだったから
「その女教師も
言い出せなかったんじゃ
ないのかな」
「……」
「こんな失敗を
笑って済ませて貰えるなんて
お前に
それだけの愛嬌があるからで」
バカ正直な
融通が利かないヤツ、って
思われるより
「よっぽど
光栄なコトだと思うがな」
セイが
私から枕を取り上げる。