チュッちゅ♂004


セイは未だに
ときどき朝帰りする日がある。

パパ達には
研究室で
夜通しの実験があるんだと
説明しているみたいなのだが。


朝帰りするたびに
セイのクローゼットの中が
総入れ替えされていて。

部屋も
おおきく模様替えされていた。


「これ、ゴミなのかしら?」

ママが
疑問を持つのも当然で。


ほとんど
袖を通していない洋服や
真新しいカバン、靴、帽子。

ゴミ袋に詰め込まれ
たくさん出てくる。


勿体ないからって

ママが内緒で
Tシャツとかを
雑巾にしてるのは

セイにはナイショだ。


高級ブランドを
シーズンが終わる毎に
未練なく
スパッと捨てる。

それが
セイの美学で。


リサイクル、とか。
エコ、とか。

時代の最先端の
地球にやさしい生き方など


刹那的な生き方を好む
セイに強制しても

ストレスを
与えるだけだって

ママも私も
わかっていた。


「大阪の親戚の子に送れば
喜んで貰えそうなのに」


ママは毎度
溜息をつきながら
雑巾作りに励んでいるけど。


値打ちのわからないヤツに
着せるくらいなら

捨てた方がマシだ、って

それこそ
セイがキレそうだよ…。


「言わなきゃわからないのに
セイってば

サンプル品だから
そんなのを誰かに
横流し出来ない、なんて」


その頑固さも
セイのいいトコロだしね、って

セイのウソを
鵜呑みにしているママって


本当に
おめでたいとゆ〜か

愛すべきヒトだと
ゆ〜べきなのか…。