セイが

誰かに
貢がせているだなんて

ママには
想像もつかないんだろうな。


「俺にはおまえだけ」

そう言いながらも

パトロン達とは
手を切ろうとしないセイに


私としても

やっぱり
面白くはない。


だけど。

明け方に
ふと目が覚めて

トイレにいって

朝帰りのセイと遭遇しても


「今日も朝帰り、なんだ」


そんなイヤミを飛ばすのが
精一杯で。


「あ、ちょうどよかった。
トーコ、おまえも手伝え」

部屋に
運び入れておいてくれ、と

セイは私に
ブランドの紙袋を
大量に押しつけられて。


「残りの荷物
運び込むから」

カギは開けっ放しでいいと
言い残して

セイはさっさと
また玄関を出て行った。


「……」

この大量の荷物。

どれだけ
おねだりしてきたんだッ。


私は両手に紙袋を抱え

足元に転がっていた
セイの戦利品を

セイの部屋に向って
蹴り入れようとして

ドゴッ。

つま先が
箱の中にめり込んだ。


痛いいいいいいッ。

予想もしなかった堅さに
声も出ないッ。


「何が入ってるんだッ」

セイの部屋に持ち込んで
箱を振ると

ゴロゴロと
重量級の音がするッ。


「……」

何だろう。



…開けてもいいよね。