私のつま先による
へこみが目立つ
まっ黒なビロードの箱。
金文字で
ハッピーバースデー、って
英語で入ってる。
「???」
セイの誕生日は
まだまだ先だし
ブランド名、なのかな。
オルゴールのような
その箱を
ベッドの上に腰を下ろして
私はそ〜っと開けてみた。
「電化製品???」
ミニ・ウィンナーみたいな
ピンクの筒状のモノが
ひとつ。
テレビのリモコンの
ミニ版みたいなモノが
ひとつ。
どちらにも
電池が入ってる。
「……」
私はリモコンみたいな方を
手にとって
電源ボタンを押してみた。
ブルブルブルブルルルッ。
「おわッ!?」
ウィンナーが
箱の中
大暴れを始めてッ。
私は
慌ててスイッチを切るッ。
「何じゃ、これはッッ!?」
「…トーコもそういうの
興味あるんだ?」
いつの間に
戻ってきていたのか。
気がつくと
セイがドアに
もたれかかるようにして
立っていてッ。
「蹴躓いちゃったから
中が壊れてないかって
心配だったからッ」
私は必死で言い訳するッ。