チュッちゅ♂006


我が家の風呂釜が
突然壊れた。

この風呂釜
もう20年は経ってるから
交換時かも、と
ママが溜息をつく。


「今夜はパパも遅くなるって
電話があったから」

ふたりで
銭湯に行ってらっしゃい、と

ママに送り出され

セイとふたり
銭湯に向って歩いた。


カタカタ、と
石鹸が歩調に合わせて
鳴っている。


「…トーコおまえ
風呂場のシャンプーや石鹸

容器に移し替えずに
持ち出してきたのか?」


セイが
大荷物の私を見て
呆れてる、けどッ。


「セイこそ
何で何にも持って
こないのよ!」


「持ってるさ」


セイがジャケットの
ポケットから出したソレを

私の顔に押しつけてッ。


「こんな道の真ん中で

パンツなんか
出さないでよねッ」


「顔に押しつけられるのは
構わないんだ?」


セイってば
笑っててッ。


「…それ、まだおろしてない
新品のヤツでしょッ」


脱ぎたて、とかだったら

セイのコト
ボコボコにしてますからッ。


「よくわかったな」

…わからいでかッ。


まだ真新しい綿の香り。

肌触りも極上で。


私が穿いてるパンツとは
素材からして
違いすぎてて。


「そういうトーコは
どんなパンツ
持ってきたんだ?」

「……」


「まさか
またキャラパンじゃ
ないだろうなッ」


「何でもいいじゃないッ」

「よくないッ」


セイが私の荷物を
取り上げようと躍起になるッ。