私も病院で
1度しか見ていないけど

かなり
おおきな傷痕が残ってて。


「俺だってさ。

銭湯なんか
行きたくないけど。

家に残ると

母さんが気を遣って
カラダも
ゆっくり洗えないだろ?」


「……」

そうだよね。


ママって

そういう気の遣い方を
しちゃうヒトだ。


「スキありッ!」

「あ」


抱え込んでいた荷物を
簡単にセイに奪われ。


「へえええッ♪」

真っ白なフリルのパンツを
セイが空に向って
高く掲げる。


「これ
俺が買ってやったヤツじゃん」

「プレゼントした、でしょッ」


私はセイの肩に手を掛けて
ぴょんぴょん、と

パンツに向って
飛び跳ねたッ。


「これってさ。
今夜はO.K、って意味に
とっちゃうからな」

セイが
楽しそおおおおおに
パンツをくるくると
振り回してるッ。


「ここのトコロ
お天気が悪くって

替えのパンツが
なかっただけだからッ」


道端で
パンツを取り合う
ふたりの姿は

ヒトの目も充分すぎるくらい
引いていてッ。


私は銭湯に向って
ダッシュするッ。


「トーコお。パンツはあ?」

「要らないわよッ」


入口で
銭湯代を払って

私は女湯に逃げ込んだ。