「え、じゃないッ」

声がする方を見ると

セイがソファーから
アタマから落っこちていて。


私のワンピースを掴んだ
右手のおかげで

かろうじて下半身が

ソファーの上
生き残っていた。


「寝ぼけてるんじゃねえよ!」


セイが
自分のカラダの上に絡んでいた
お布団を

私の顔に押しつけてきてッ。


セイってばッ

「寝てる私の上に
お布団掛けて
イタズラしてたんだッ!?」


どうりで
暑苦しい夢だったワケだッ。


「だって、この俺が
起こしてやっているというのに

おまえがいつまでも
図太く眠り続けてるからッ」


…無視された、と
お腹立ちされたワケですかッ。


「眠り姫だって

王子様のキスで
一発で目覚めるつーのにさ」


セイが私の唇を

小鳥が啄ばむように
キスをする。


「…そんな
触れるか触れないかの
キスくらいで」

気がつくワケ
ないじゃない。


なのにッ

「トーコは欲張りだな」

なんて

セイってば
意味深に笑っててッ。


「変な意味じゃないからねッ」


修正申告しても
もう遅い。


構わず
セイの唇が
近づいてきたモノだから


「真っ昼間から
何考えてるのよッ」


私は傍にあった
ふっかふかの布団を
セイに押しつけ

イッキに押し返したッ!


「ぐわッ」