布団ごと
ソファーの下に転がって
「きゃッ」
セイに腕を掴まれ
巻き添えを食って
私までソファーから
落ちてしまって。
お布団を挟むようにして
セイの両腕が
私のカラダをホールドして
離さない。
お互いの顔の間に
布団が幅を利かせてて
「いッ、息が苦しいッ」
もがく私を
甚振るように
セイが益々勢いづいて
両の腕に力が入った。
「ギブする?」
「うぐぐぐぐッ」
「ギブは?」
セイの楽しそ〜な声に
私は布団を叩いて
抵抗の意思を示すッ。
「…トーコ。
おまえ、死にたいのか」
私との我慢比べに
根負けしたセイが
布団を剥いで私の顔を
掘り当てると
「…ったく!
おバカは
どこまでもおバカで困る」
私の下敷きになったまま
苦笑する。
「息止めるの、得意だもんッ。
学校のプールで
50メートルの潜水に
挑戦したコトだって
あるんだからッ」
私の中途半端な
自慢話に
「…何だよ、その
挑戦したコトがある、って
表現はッ」
成功したんじゃないのか、って
セイの目が
半分呆れててッ。
「だって
私が溺死したんだ、と
勝手に先生が誤解してッ」
挑戦していた最中だったのに
「無理やりプールから
引き揚げられちゃったからッ」