「…だったら
おまえが呼び方を変えずに

ナンノとやらに

自分達だけの
甘〜い呼び方を
提案してやればあ?」


あ。


確かに。

セイの言うコトも
一理あるッ。


「外国映画だと
ハニーとかダーリンとか

恋人同士の呼び方って
いろいろあるわよね」


ママがアイロンを片手に

”甘い”とゆ〜コトバに
反応した。


「ロマンティックな
カップルにあやかって

ジャックとローズなんて

どお?」


…ママッ。

それじゃ
タイタニックといっしょに

海の藻屑と
消えちゃいそうですッ。


「もういいよ。

ナンノに
自分で考えて貰うから」


私は話を切り上げて
自分の部屋に戻った。


「あのさ〜」

「何ッ?」

セイが私の部屋まで
私を追いかけてきて。


「変なあだ名を
思いついたんなら

もういいからッ」


お気遣いなくッ!


「そうじゃなくて!」


今度の日曜日のコト
なんだけど、って

セイが何やら
言いにくそうにしていて。


気持ち悪いぞッ。


「アメリカの大学の関係者が
来日するコトになって

空港まで
出迎えにいかなくちゃ
ならなくなって、さ」


「……」

「大事なスポンサーだしさ」


なんてラッキー!!