チュッちゅ♂010


「次の日曜のデート
どこに行きたい?」

セイが
ガイドブックを片手に

私の意見を
珍しく訊いてきた。


「先週はテニス。

その前は
確か、ボウリングだったよな」


そして

その前はスケボー。
その前はバスケ。


「アーチェリーは
いつだったっけッ」


なんか
とっても体育会系なデート
ばっかりで

楽しいけど

デートってカンジじゃ
なくなってきてるよねッ。


「…たまには
ドレスアップして
出掛けたい、かな〜」


「ホテルでゆっくり
お姫さま体験、とか?」


そ〜ゆ〜んじゃなくてッ。


「ちょっと
その雑誌、貸してッ!」


私はセイから
ガイドブックを奪うと

パラパラと
ページをめくる。


【彼女をその気にさせる
ロマンティック・スポット】


思わず手が止まった
そのページッ。


「プラネタリウムで
初夏の宇宙を見よう!!」


「俺、別にわざわざ
そんなトコいかなくても

充分にその気にさせる
自信あるけど?」


…もしもしもしッ?


「でも、これだけ
おおきく取り上げられてたら

混んでそうだよな」


…そうだよね。


評判のいいトコロは
どこだって長蛇の列で
数時間待ちは当たり前ッ。